2010-01-14

next words

If it goes well, とそのひとは言って、ずずっと湯のみをすすった。わたしは正座した両ふとももの上に手を置いて、じっとそのひとの次の言葉を待った。次の言葉。next words. そのひとの顔は大きな湯のみに隠れ、わたしの座っている位置からはよく手入れのされたふたつのまゆ毛しか見えない。わたしは高校生のとき、ゴールデンウィ—クだけの短期アルバイトに応募して大阪の南港まで面接に行ったことを思いだした。面接を担当した女性社員のまゆ毛は、当時そういう商品があったのだが、美しいまゆ毛のかたちにくりぬかれたプレートを額にあて、その穴をペンシルでベタリと塗りつぶしただけのものだった。完全無欠な美しさを手軽に求めた結果、彼女の顔は見るものにとても不自然な印象を与えた。ほんらいの右まゆ毛と左まゆ毛のあいだの幅さえ無視されていた。オ・オオ。同じ面接を受けた友達は終わったときにまず言った。まゆプレートだったね。わたしは答えた。うん。わたしたちはふたりとも面接に受かった。

2010-01-08

新春シャンソンショー

あけましておめでとうございます! 駅でひとを待っていたら、知らないひとに「もう少し髪の毛みじかくしてもいいんじゃない?」と言われました。そんな2010年の幕開けです。ことしもよろしくお願いします。

2009-12-24

Season's Greetings

We wish you a merry christmas and a happy new year 2010! xxx

2009-12-14

Oh! No! Yoko?

その時、しいんと静まった美術館の中に「リリリリ。リリリリ。」と電話の音が鳴り響いたのだった。え! 鑑賞中は携帯の着信音くらい切っておきぃや! とだれかもわからぬだれかに苛立ちを感じるも程なく、その音はすぐに途切れてしまった。3コールほどだったか。短かった。とにかくすぐに切れたのだ。その直後にわたしは、そばに壁に仕切られた小部屋があり、そこへ白い電話機がぽつんと置かれているのを見つける。のぞいてみると、だれもいなかった。ああ、ここは見たらいけない裏方側のスペースで、この電話はなんかのときに美術館の人が使うために置いてあるのだろう、というふうに思って通りすぎようとしたが、よく見るとなにか注意書きがある。顔を近づけて読んでみると、「この電話はニューヨークのオノヨーコさんにつながっています。たまにオノヨーコさんから電話がかかってくるので、かかってきたら出てください」というようなことが書いてあった。わたしはボーゼンと立ちつくし、一気に周りがざわざわしだして、興奮で鼻息がフンフンになった人々が押し寄せ、小さな部屋はもうフンフンにあふれかえったけれど、それからみんなで穴があくほど見つめ、いくら息を殺して待ってみても、ふたたびその電話が鳴ることはなかった。
もう何年前になるやろうか、東京都現代美術館でやっていたYESオノヨーコ展。果たしてあのとき電話のいちばん近くにいた自分が受話器を取りあげていたとして、あのヨーコさんといったいなにを話せばよかったのか、今考えてみてもわからなくてどきどきしてしまう。

2009-12-04

パーティーはやらない

ドリームパスタというのをご存知だろうか。夜空に星があるように、指先に指紋があるように、だれもがひとつはなんか持ってたらいいなのドリームパスタ。わたしにとってのそれは、いっしょに住んでたイタリア人の女の子がよく作っていたやつ。麺がもっちりとしていて、ちょっとべっとりしている。オイルが多めなのかな。麺の形状は、なんというのかわからないが、わずかに丸みを帯びていて、かつ若干ひらべったい。たとえるなら、くるくるしていない電話コードのような。艶のある薄いイエローがなんとも食欲をそそる。ひとくち口に含んだら、あーらニンニクがわりときいているね。それからあとはなんやろう、きのこ? たぶんエリンギとか、マッシュルームとか、そんなんの味がすごいする。そこへ生まれたばかりの赤子の目玉をソテーして、ちっちゃな肝臓をきゅっと乗せ、小口切りにしたネギをぱらぱら散らしたら、ほーらおいしいパスタのできあがり。