2011-07-30

morning

1秒も休まず大人になっていく、と二十歳ぐらいのときに日記帳かなにかに書いたのを思い出した。それからずいぶんと長い時間が経っておばあさんになってしまった今でも、方眼用紙のようにえんえん続く毎日のなかに、たまに、ほんのたまにだけれど、たとえば今日のような、とてもきらきらしい一日があったりする。交わした数すくない言葉の奥に、羽毛布団のように、やわらかくあたたかいものが、ふくらんでいる。朝まであそんだ日のふわふわした、現実的でない、おだやかな感情にも似たそれは、しかしながらすこしの痛みを伴う。ひとりではけして体験することのできないそれは美しく、傷のついたものは遠くからきらきら光って見えるという。