最近は家に帰るのがたのしく、帰ったところでなにがあるというわけでもないがいっさいの寄り道をせずに、植物のつぼみに水をやり、花のひらくところ、実のつくところ。実のやがてしぼみ、しわくちゃになるところ。いずれは首を垂れ、手のひらにぼとんと落ちるところ。かかるようすをのべつまくなし、飽くことなしに眺めている。季節は移り、飯を食うのはやめた。トイレにも行かなくなった。カーテンはひかないしパーティーはやらない。それなのにポストを開けると下の住人から「もう少し静かにしてください」という手紙が届いていたので泣いた。